日時・場所
- 平成29年2月9日(木)
福島市(福島市アクティブシニアセンターAOZ) - 平成29年2月20日(金)
郡山市(ミューカルがくと館)
対象
- 福島県内で子ども支援、子育て支援に関わっている方
(保育士、教職員、児童福祉司、施設職員、子育て支援センター職員、等) - 一般の方
参加者
- 福島会場
NPO職員、会社員、民生委員 4名 - 郡山会場
幼稚園関係者、NPO職員 4名
概要
放射線に関する基本的な知識の勉強と放射線に起因する社会問題について、子どもたちの意見を理解しサポート方法を学ぶことを目的として、ハンドブック「みらいへのとびら~知って、考えて、話してみよう、自分のこと、みんなのこと、放射能のこと」を使用して研修を実施しました。
このハンドブックは子ども支援の国際NGOである公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、子どもが放射能について学び、考え、話し合う力を養うことを目的に作成したものです。
講師にNPO法人市民科学研究室の上田昌文氏と、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン国内事業部の中谷美南子氏をお迎えし、グループ形式で学びました。
内容
- 放射線に関する知識について〇×クイズ10問をハンドブックで確認しながら根拠とともに回答し、上田氏が解答解説を行いました。
- 中谷氏が進行役になり、避難に関してのグループワークを行いました。
ハンドブックの中では、子どもたちの状況と気持ちが綴られています。子どもたちの立場になって疑問や不安を付箋に書き出し、グループで共有しました。その後、それに対して大人としてはどういう言葉がけ(気づいたこと、質問、助言)ができるかを付箋に書き出し、グループ内で共有しグループごとに発表しました。
〇×クイズに関しては、子ども向けのハンドブックということで言葉や表現がわかりやすく書かれていました。例えば、「放射線はうつるのか?」という問題や「福島県産の農産物について放射性セシウムの検査がされているかどうか?」といった問題を〇×クイズ形式で、ハンドブックを確認しながら回答しました。
避難についてのグループワークは、様々な環境や立場の子どもたちがいる状況で、子どもたちの意見や疑問に大人がどうサポートできるかを考えるという、非常に有意義な時間だったと思います。
この研修を実施した時期に、原発避難者に対するいじめに関する報道が多くありました。
避難者に対するいじめは、「放射線や避難に関する情報を把握していない」ことから起こることもあると思います。避難者が避難生活を送る県外の地域で放射線リテラシーのような研修を実施すれば、理解が深まりいじめの減少にも繋がっていくのではないかと思いました。
避難者を支援する県外の団体から参加した方からも、県外でこういった研修を実施してほしいという声がありました。
参加者のなかには、支援者として子どもと直接関わる方もいらっしゃれば、間接的に関わる方もいたため、子どもの立場に立つところや、自分の身近にいる子どもを想像して、というところのイメージがつきにくいこともあるようでした。
しかし、難しいながらも不安や疑問をもつ子どもの立場を考えた言葉がけを丁寧に考えて付箋に書いていらっしゃいました。また、支援者として原発事故や放射線に対する思いや考えをグループで共有するよい機会にもなったと思います。
放射線リテラシーハンドブックは、福島市内やいわき市内の中学生に配布されています。より多くの子どもや支援者に活用してもらうため、教職員・保育士など子どもと接する機会の多い支援者にも放射線リテラシー研修を知ってもらえたらと思います。