実施日時
平成28年8月19日(金)・20日(土)・21日(日)
実施場所
福島市(ラコパふくしま)
参加者数
保健師・看護師・小学校関係者・地域の子どもに関わる大人24名
内容
「CAPスペシャリスト」を養成するための講座で、3日間にわたり暴力防止教育の理論や思想、子ども虐待についての知識やCAPワークショップの方法を学びました。
「Child Assault Prevention(子どもへの暴力防止)」の略で、子どもたちがいじめ、痴漢、誘拐、虐待、性暴力といったさまざまな暴力から自分を守るための教育プログラム。
CAPワークショップは子どもの発達段階に応じて、寸劇・歌・人形劇・討論などを盛り込み、子どもを怖がらせることなく暴力防止の具体的対処を教えるもので、CAPスペシャリストは子どもや大人にそうしたCAPプログラムを伝える役割を担う、暴力防止の専門家です。
今回の基礎編はCAPの歴史、児童虐待に関する法律制定の背景となった出来事や、その後改正のきっかけとなった具体的な事件まで非常に内容の濃い学習をしました。また、虐待、DVの種類やそれに関する正しい知識も合わせて学びました。
ワークショップについては、協力団体であるこどもCAPふくしまの方と講師がロールプレイ形式の見本をみせてくださり、その後で受講者もロールプレイ形式でやってみるというスタイルで学んでいきました。
1日目 | 防止教育の思想と理論についての講義と、子どもワークショップの実演 子ども虐待に関わる4つの分野、子ども虐待への対応の歴史、子どもの権利に関して講義形式で学びました。CAP子どもワークショップの実演では、誘拐・不審者に会った際の対処方法として子どもに教える内容を受講者が実際に体験しました。その後実施する場合の留意事項について学びました。 |
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2日目 | 子ども虐待問題の知っていなければならない基礎知識の講義と、子どもワークショップの練習・発表 子ども虐待の分類や児童虐待防止法という法律について講義形式で学びました。1日目に体験した子どもワークショップを受講者が3人1組のグループでロールプレイ形式で実演・発表し、講師からフィードバックを受けながら学びを深めました。 |
3日目 | トークタイムの講義・練習、おとなワークショップのやり方に関する講義 ワークショップの後に設ける、子どもの心配事の相談にのる場「トークタイム」について、実施の目的や留意事項を講義形式とロールプレイ形式で学びました。虐待を疑われる子どもに対して、「できない約束はしない」「暗に責めるような質問をしない」「なぜ、どうしてで始まる質問を避ける」といった、ガイドラインについても学びました。また、子どもワークショップ実施前に大人にCAPを理解してもらうために実施する「おとなワークショップ」についても学び、保護者や教師からされる質問への対応についてなどを講義形式で学びました。 |
研修中の様子
初めは緊張した様子の受講者が多かったように感じました。
しかし、3日間毎日違う席に着き、講義の区切りの良い場面で必ず近くの席の数名と意見や感想を共有したり、2日目の午後からはロールプレイ形式での発表をする中で、次第に受講者同士が打ち解け、講座にも積極的に参加していました。
受講者は、虐待、特に性暴力やDVというあらゆる暴力について、重い内容ではありますが事例と法律について熱心に講義を受け、各グループで発表したこどもワークショップについても緊張しながら、熱心に取り組んでいました。
受講者の感想
- 実際に暴力的なこどもを預かったりするので、そのお子さんの気持ちを聴いてあげるのにとてもよかったと思います。
- 子どもの自立にむけて、学んだ知識をお母さんなどに関わる時に役立てることができると思う。
- 子どもをとりまく多くの大人がこの講座を受講する機会が増えるとよいと思う。
- 悩みを抱えた子どもとの向き合い方について学ぶことができました。1人の人として、一緒に課題に対する対応を検討して、子ども自身が選択するという点には、とても共感しました。
- 学校でのワークショップを実施が簡単に出来なそう。
さいごに
設備の整った綺麗な研修会場で、こどもCAPふくしまの協力のもと、受講者は非常に快適な環境で受講することができました。CAPスペシャリストとして活動する為には、今回の基礎編3日間(24時間)と、10月の実践編2日間(16時間)を修了する必要があります。
今回の養成講座で、虐待を始めとするあらゆる暴力について、子どもが被害にあった際の正しい対応や未然に防止する方法を考えることができるように大人も正しい知識を身に付ける必要があるということを学びました。
10月の実践編ではロールプレイ形式での受講スタイルも増え、より実践的な講座に入っていきます。CAPスペシャリストとして地域で活躍する為に受講者の皆さんには頑張っていただきたいと思います。